どんぶりが割れた。
数年間、愛用とまではいかない、使用。
それしかないから使っていた。
ちょうどいい大きさ、持ちやすい。
使い勝手がよかった。
豆腐、スープ、ごはんや煮物。
使い回しができた。
どんぶりを拭いていると。
手が滑る。
落ちていくのがわかる、その時間。
スローモーション、長く感じる。
足を出せば、衝撃を抑えられるかな。
フローリングの上にマットが敷いてある。
割れないかも。
いや、割れるな。
いろいろ考える余裕、時間があって。
でもなんとなく、なぜか?
どちらかといえば、割れるのを望んだ。
そして、やっぱり割れた。
割れた瞬間の破片の広がる姿は。
打ち上げ花火を見たような美しさ。
季節の変わり目。
何かの節目なのか。
いいものを見た。